TIDE POOL 葉山の公式ブログ

2019.06.27 UP
第3の目で「せかい」を観る

こんにちは!「せかい」クラス担当の、はらみづほです。

今日はみんなで「第3の目」を開き、「モノの奥に広がるせかい」を観る旅に出ました。

第3の目を開く呪文は、「ド・コ・ド?」と「ダ・ジ・ダ?」。

「これって何の意味なの?」と紅一点のKちゃんから質問が。

そう、これは、「ドコからココへ?ココからドコへ?」「ダレからジブンへ?ジブンからダレへ?」の意味。

「第3の目をひらく」ということは、そのモノの原料やつくられた場所や人々のいる世界に想いを馳せる、ということなのです。

ではまず、私たちのくらしに欠かせない「お金(紙幣)」を、第3の目で見てみましょう。

「みんな、このお金って、何からできてると思う?」

みんなひととき考えたあと、「紙!」という答えが。

「じゃあ紙の原料は何だかわかる?」

「木!」

「じゃあその木がどんな木で、誰がその木を世話しているのか見に行こう!」

…というわけで、私が世界の旅で見てきた紙幣の原料をつくっている国のうちのひとつ、南米のエクアドルへ。

まずは世界地図でエクアドルを探し、日本からの距離を眺めます。

「エクアドルってどこにある?」

「アフリカ!」

ほんとかな…?と地図の上を探していくと、エクアドルは日本をはさんでアフリカの反対側に記された、南アメリカ大陸にありました。

その国を旅していた私が撮った写真を、大画面でみんなで見ます。

紙幣の紙は、実は木ではなく、バナナの葉っぱにそっくりの「マニラ麻」と呼ばれる草からできていたんですね~!



先月のクラスで旅したエクアドルのバナナ農園の近くに、紙幣の原料になる「アバカ(マニラ麻)」を育てている畑がありました。

刈り取る仕事をしている人の手はグローブみたいに分厚くて頑丈。でも、血がにじんでいます。


数え切れないほど多くの人の手にさわられ、折られたりも濡れたりもするお札の紙は、丈夫でないとなりません。だからその紙をつくるための繊維も、すごーーーく丈夫。これが「アバカ(マニラ麻)」の葉っぱからとれた繊維です。



この小さな工場では、こんなふうにこの繊維を乾燥させていました。そうめんみたいですね~笑



そうやって出来上がった繊維(糸)は、手でひっぱると手が切れそうなほど強靭でした。




この繊維はこんなふうにまとめられ、船に揺られて工場のある街や外国へ。紙幣のほかにもロープなどの製品になり、私たちのくらしを支えてくれているのです。

ちなみに、紙幣はこの繊維が何パーセント配合されているか、他に何を混ぜどんなふうにつくっているかは、もちろん国家機密です。

アバカ(マニラ麻)の葉を刈っている人の手がグローブみたいにでっかくて、しかも血が出ているのに氣づき、みんなビックリ。そして、この仕事をしている人の時給が3ドル(約300円)だと知って「えーっ?!そんなの安すぎ~!」と声を上げていました。

そう、私たち日本人の生活は、紙幣の原料すら自国ではまかなえていないのが現状で、私達が日常お世話になっている無数のモノの原料はたいてい、こうして安いお給料で働いている外国の人々の手によって採掘・採集されているのです。

では、次はそんなお金で買っているあるモノに関連する写真を見てみましょう。

「みんな、これ、何してると思う?」



「ゲーム?」「遊んでる?」「美容のため?」いろんな答えが飛んできて、「じゃあどんな感じかやってみよう!」と、男の子たちが洗濯ばさみを出してきてやってみると…「イタイ!!!」

そう、彼女達は自分達が眠ってしまわないようにわざわざ痛みを感じることをしているのです。


彼女達は、ジーンズ工場の働き手。これは「女工哀歌」という映画の告知文です。衣服の向こう側にも、こんな世界が広がっているのですね。


こどもたちはビックリし、ひとときいろんな意見や会話が交わされました。

「ZARAやH&Mはジーンズ1000円とかだから第3の目で見るとこれとおんなじなんだよ!」
とHくん。うわ~よく知ってるな~!きっと親御さんがそういう話をしているのかもしれませんね。

「ねぇ、じゃあ食べものは?」という声が上がり、「まってました!」と次の写真に。
チョコレートの事実に、みんなビックリ!
フェアトレードのチョコレートがあることを伝え、ひとときみんなで「どうすればいいか」を話し合いました。

「スーパーで安売りしてる80円のチョコを買うこともできるけど、その原料をとるためにこんな子たちが働かされていると思うと悲しいし、そんなチョコ食べてもおいしいと思えないよね。

でも、こういう現実を知って、こんなやり方じゃない作り方で、ちゃんと大人を雇い、お給料を払ってチョコをつくっている会社もあるんだよ。でも、そっちのチョコは1枚300円なの。さぁ、みんなはどっちを買う?」

と投げかけると、みんなそれぞれに、真剣に考え始めた様子。

「会社はたくさん売れるものを作るから、子どもをさらって働かせたんじゃないことを確認して300円のチョコをみんなが買うようになり、子どもをさらって働かせている原料でできた会社のチョコが売れなくなったら、その会社はそういう作り方をしなくなってくんじゃないかな。

私たちが何を買うかで、世界が変わっていく可能性があるんだよね」

最後は一人ずつ氣に入ったモノを選んで、第3の目でそれを見て、そのモノの原料を通して「せかい」を観るチャレンジをしました。

本、レゴ、えんぴつ、スポンジ、そして、うんこ!が、それぞれのこどもたちが選んだモノ。


彼が選んだのは「スポンジ」。彼はその原料が「蜘蛛の糸」からできていると予想したんですって!こどもの想像力の豊かさに胸がいっぱいになりました。

なんと、第3の目で見えた世界が、地球の中や空や海にまで及んだ子も!いや~すごい感度です!

みんなの考察を紙に書いてもらい、一人一人発表してもらいました。
自分で考え、想像力を働かせ、それをプレゼンするトレーニングです。


そして、それをした次には、それが事実に当てはまっているかどうかを調査・確認すること。
なので、それぞれの書いたことが正しいかどうか、選んだモノの原料が何かを調べてきてもらうことにしました。

次回はその発表会。楽しみです!

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